《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter》
密輸人の回転翼機が攻撃かブロックするたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
搭乗1
小学5年生の春休み、私は所謂早生まれで毎年学年の終わりに誕生日を迎えていた。
早生まれからか、周りより小柄だった私は少なからず劣等感を抱いていた。
そんな私を見兼ねた祖父はその年の誕生日プレゼントに《密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter》を4枚買ってくれた。
私は嬉しかった。なにせ初めての機体だったし、祖父の「お前もこのコプターのように自由でアドを取りながら生きろ」という言葉が何よりのプレゼントだった。
それから私はコプターを乗り回した。
教室でも公園のベンチでも、搭乗コンバットルーティングを繰り返した。周りの友人は《アラダラ急行/Aradara Express》の方が大きくて強いだとか言っていたけれど、私はコプターの強さを信じて疑わなかった。
それから一年が経ち、コプターは禁止になった。小学校卒業と同時だった。
私は納得がいかなかった。禁止された事が問題というよりは、卒業と同時にマジックも辞めろと言われてる風に感じたからだ。
2019年、コプターがまた禁止になった。
無職の私には、卒業するものが何もなかった。